株式会社Polyscapeが提供するPASK.aiは、社内規程や契約書、営業資料、SaaS、コミュニケーションツールなどと接続し、Slackなど普段使っているチャネルから呼び出せる「AI社員」を構築するAIエージェント基盤です。単なるチャットボットではなく、契約書の作成・レビュー、メールドラフトの生成、資料作成、営業リストの生成、採用候補者の選定といった実務に近いタスクを、企業ごとの業務を理解したうえで担えるよう設計されています。
今回は、PASK.aiが目指すAI活用のあり方と、業務に定着させるための導入の進め方について、株式会社PolyscapeのAI/DX事業 事業責任者である冉蘭驪氏にお話を伺いました。
冉 蘭驪氏 プロフィール
AI/DX事業 事業責任者
2018年株式会社リクルートに入社。じゃらん遊びのプロダクト責任者としてプロダクト戦略からデータ分析、施策推進まで従事し、リクルートの新規事業提案制度「RING 2020」で優勝。2022年にfreee株式会社に入社し、freee販売をはじめとした複数の新規事業を立ち上げた後、Polyscapeに参画。現在はAI/DX事業部の事業責任者として、企業のAI活用によるビジネス課題解決・業務効率化を最前線で手がける。
PASK.ai

株式会社Polyscapeが提供するPASK.aiは、社内規程や契約書、営業資料、各種SaaSなどと接続し、Slackなど普段使用している社内チャットから呼び出せるAIエージェント基盤です。企業ごとのナレッジや業務フローを理解し、契約書の作成・レビュー、メールドラフトの生成、資料作成、営業リストの生成など、実務に近い業務を支援します。権限管理やセキュリティに配慮しながら、企業独自のスキルや外部システムとの連携を追加できることも特徴です。
事業概要とサービス立ち上げの経緯
貴社の事業概要と、今回ご紹介いただくサービスの位置づけを教えてください。
株式会社Polyscapeは、「未来を、前倒す。」をミッションに、AI/DX事業とゲーム・ソフトウェア開発事業を展開する企業です。プロダクトづくりとAI技術に精通したチーム体制を活かし、経営・業務・開発を横断して、企業のデジタル化・AI活用を支援しています。
今回紹介するPASK.aiは、PolyscapeのAI/DX事業における中核サービスです。PASK.aiは、企業ごとの社内ナレッジ、業務フロー、ドキュメント、SaaS、コミュニケーションツールと接続し、Slack等から利用できる「AI社員」を構築するAIエージェント基盤です。単なるチャットボットではなく、企業ごとの業務理解・権限設計・RAG・カスタムスキル開発まで含めて、AIが実務の中で継続的に使われる状態をつくることを目指しています。
このサービス・事業を立ち上げるに至った経緯を教えてください。
生成AIの活用は急速に広がっていますが、多くの企業では、個人がChatGPTやClaude Codeのようなツールを使う段階にとどまり、会社全体の業務変革にはつながりきっていません。個人の工夫としては有効でも、社内ナレッジや業務フローと接続されていないため、成果が属人化し、組織として再現性を持って育っていかないという課題があります。
また、企業の実務では、契約書、社内規程、営業資料、顧客情報、採用情報、議事録、業務システムなど、AIが参照すべき情報が多岐にわたります。しかし、セキュリティや権限管理、情報の鮮度、業務ごとの判断基準が整理されていなければ、AIは実務で安心して使える存在にはなりません。
Polyscapeは、プロダクト開発とAI技術の両方に強みを持つ会社として、AIを「個人の便利ツール」ではなく「企業に一体化し、育ち続けるAI社員」として提供できるのではないかと考え、PASK.aiを立ち上げました。AIを導入して終わりではなく、企業ごとの業務に合わせてスキルを追加し、改善し続けられる基盤をつくることが、私たちが取り組むべき領域だと考えています。
解決する課題とターゲット企業
貴社のサービスが解決しようとしている課題について教えてください。
PASK.aiが解決しようとしているのは、生成AI導入が「PoC」や「個人利用」で止まり、実際の業務成果に結びつきにくいという課題です。
多くの企業では、次のような問題が起きています。ChatGPT等の汎用AIが社内のナレッジや業務フローを理解しておらず、社内規程、契約書、営業資料、顧客情報などが分散しているため、AIが実務判断に必要な情報へアクセスできません。AIに業務を任せたい一方で、権限管理・セキュリティ・情報漏洩リスクが懸念されます。さらに、個人ごとのAI活用にとどまって会社としての共通知化や改善サイクルになっておらず、AI導入の目的やKPIが曖昧なまま進んで現場業務に定着しない、といった状況です。
PASK.aiは、企業ごとの業務プロセス、ナレッジ、権限、利用シーンを整理したうえで、AIエージェントが実際の業務を支援できる状態をつくります。AIを“試す”段階から、“業務の一部として使い続ける”段階へ移行するための基盤です。
どのような企業がターゲットですか?
PASK.aiは、業種や規模を問わず、社内ナレッジや業務フローを活用したAIエージェント導入を進めたい企業に適しています。特に、SlackやGoogle Workspace、Microsoft Office、社内ドキュメント、SaaSなどを日常的に利用しており、契約・営業・採用・バックオフィス・開発・カスタマーサポートなどの業務をAIで効率化したい企業にフィットします。
特に相性が良いのは、社内にドキュメントや業務ノウハウはあるものの活用しきれていない企業、生成AIを導入したが現場活用や定着に課題がある企業、バックオフィス・営業・採用・開発など複数部門でAI活用を横断展開したい企業、セキュリティや権限管理を考慮しながら社内AIエージェントを導入したい企業、そしてAI導入をPoCで終わらせず業務プロセスの改善まで進めたい企業です。
一方で、単に「AIツールを入れれば何かが自動化される」と考えている場合や、解決したい業務課題・活用対象のデータ・社内推進体制がまったく整理されていない場合には、まず業務整理や導入目的の明確化から始めることをおすすめしています。
サービスの特徴と提供の流れ
サービスの特徴・強みを教えてください。

PASK.aiの特徴は大きく3つあります。
1つ目は、企業ごとの業務に合わせて「AI社員」を構築できる点です。PASK.aiは、汎用チャットボットではなく、社内規程、契約書、営業資料、採用情報、各種テンプレート、SaaSなどと接続し、企業固有の業務を理解したAIエージェントとして利用できます。契約書作成・レビュー、メールドラフト生成、資料作成、営業リスト生成、採用候補者選定など、実務に近いタスクを担えることが特徴です。
2つ目は、Slack等の既存業務環境から自然に利用できる点です。新しいツールを別途開いて使うのではなく、日常的に使っているコミュニケーションチャネルからAIエージェントを呼び出せるため、現場に定着しやすい設計になっています。また、権限管理やサンドボックス環境を考慮しながら、セキュリティ面にも配慮した導入が可能です。
3つ目は、専門コンサルタント・FDEが企業ごとにカスタム設計できる点です。PASK.aiはパッケージでありながら、単なる既製品ではありません。企業ごとの業務フロー、ナレッジ、既存システム、セキュリティ要件に合わせて、独自スキル、テンプレート、RAG、UI、外部連携を調整できます。Polyscapeが持つプロダクト開発力とAIエンジニアリング力により、「AIを導入する」だけでなく「実際に業務で使われ続ける」状態まで伴走できる点が強みです。
サービス提供の流れを教えてください(問い合わせ〜提供完了まで)
サービス提供は、主に次の流れで進みます。
まず、お問い合わせ・初回相談として、AIで解決したい業務課題、対象部門、利用中のツール、社内データの状況、セキュリティ要件などをヒアリングします。
次に、業務・ナレッジの整理を行います。契約、営業、採用、バックオフィス、開発など、どの業務をAIエージェント化するかを整理し、あわせて参照すべき社内ドキュメント、テンプレート、SaaS、既存ワークフローを確認します。
続いて、初期セットアップとして、PASK.aiのテナント作成、権限設定、初期スキル配備、RAG用ナレッジの登録、Slack等の利用環境設定を行います。
その後、パイロット導入・検証に移ります。特定業務から小さく導入し、実際の利用シーンで出力品質、業務削減効果、現場での使いやすさを検証します。必要に応じて、プロンプト、ワークフロー、参照ナレッジ、権限設定を調整します。
さらに、カスタム開発・本番展開として、企業ごとの業務に合わせて、独自スキル、テンプレート、外部システム連携、UI、承認フローなどを追加開発します。その後、対象部門や利用者を広げ、本番運用へ移行します。
最後に、運用・継続改善です。導入後も、利用状況や現場フィードバックをもとに、スキル追加、ナレッジ更新、精度改善、業務フロー改善を継続します。AIエージェントを一度作って終わりではなく、企業の業務に合わせて育てていきます。
標準的な初期導入は、対象業務の範囲にもよりますが、数週間〜1か月程度を目安に設計しています。カスタム開発や複数部門展開を伴う場合は、別途スケジュールを設計します。
今後の展望と導入を検討する企業へのメッセージ
今後の展望と、サービスを通じて実現したい未来について教えてください。

PASK.aiを通じて実現したいのは、AIが一部の詳しい人だけの道具ではなく、企業全体の業務基盤として自然に使われる未来です。
今後、AIエージェントは、契約書作成、営業資料作成、採用支援、社内問い合わせ対応といった個別業務だけでなく、経営判断、施策立案、開発、顧客対応、バックオフィスなど、企業活動全体を支える存在になっていくと考えています。そのときに重要なのは、AIの性能そのものだけではなく、企業ごとのナレッジ、権限、業務フロー、判断基準、文化と接続されていることです。
PASK.aiは、企業ごとに育ち続けるAI社員の基盤として、AI活用を個人の工夫から組織の能力へと進化させたいと考えています。Polyscapeのミッションである「未来を、前倒す。」の通り、AIを活用した新しい働き方や事業成長のあり方を、より早く社会に実装していきます。
AI導入を検討中の企業担当者の方に向けて、メッセージをお願いします。
AI導入で最初に考えるべきことは、「どのAIツールを入れるか」ではなく、「どの業務や意思決定を、どう良くしたいのか」です。目的やKPIが曖昧なままツールを導入しても、現場では使われず、PoCで終わってしまうことが少なくありません。
まずは、解決したい業務課題、現場の実際のフロー、参照すべきデータ、関与する部門、セキュリティ要件を整理することが重要です。そのうえで、小さな業務からAIを導入し、現場で使いながら改善していくのが最も成功しやすい進め方です。
AIは、業務を丸ごと魔法のように置き換えるものではありません。人間の判断や現場の知見と組み合わせることで、初めて大きな価値を発揮します。PASK.aiでは、企業ごとの業務にAIを正しく組み込み、使われ続ける形にするところまで伴走します。
AIを組織の能力に変えていくために
私たちは、AIエージェントは「導入して終わり」ではなく、企業の業務やナレッジとともに育っていく存在だと考えています。
今後、AI活用の差は、単に高性能なモデルを使っているかどうかではなく、自社の業務をどれだけ言語化し、AIが扱える形に整理し、継続的に改善できるかによって生まれます。PASK.aiは、そのための基盤として、企業の知識・ワークフロー・ツール・人をつなぎ、AIを組織能力に変えていくことを目指しています。
株式会社Polyscapeの企業概要

| 会社名 | 株式会社Polyscape |
|---|---|
| 代表者 | 島田 寛基 |
| 所在地 | 東京都港区 |
| 設立 | 2022年 |
| 事業内容 | 生成AIを活用したAI駆動開発ソリューションとメタバース系ゲーム開発を展開するスタートアップ。 |
| サービス名 | PASK.ai |
| 公式サイト | https://polyscape.io/ |
編集後記
PASK.aiが繰り返し向き合っているのは、生成AIが「個人利用」や「PoC」で止まり、組織の成果につながらないという課題です。冉氏は、AI活用の差は高性能なモデルを使っているかどうかではなく、自社の業務をどれだけ言語化し、AIが扱える形に整理し、継続的に改善できるかによって生まれると指摘します。汎用AIに足りないのは性能ではなく、企業ごとのナレッジ・権限・業務フロー・判断基準との接続だという視点は、ツール選びから入りがちなAI導入の議論に対して具体的な順序を示しています。
導入の進め方として、目的やKPIの整理から始め、小さな業務からパイロット導入し、現場で使いながら改善していく流れが語られました。契約書のレビューや営業リスト生成といった実務タスクをSlackなど既存の環境から呼び出せる設計も、定着を重視した考え方の表れといえます。AIをPoCで終わらせず業務の一部として使い続けたいと考えている企業の担当者は、まず自社のどの業務から整理するかという観点で、PASK.aiの導入の進め方を参考にしてみてはいかがでしょうか。





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