OpenAIが最先端AI開発の自主減速を検討、業界協調の独禁法リスクを米議会に照会していたことが判明

  • URLをコピーしました!

OpenAIのサム・アルトマンCEOが、最先端AI開発のペースを落とす可能性を社内会議で従業員に伝えていたことが2026年9月11日、Bloombergの報道で明らかになりました。これに先立ちWiredは9月10日、OpenAIがここ数週間のうちに米議会の議員に対し、業界横断でAI開発を減速させる協調行動が独占禁止法(反トラスト法)の下で合法かどうか、指針を求めていたと報じています。フロンティアAI開発の最前線を走る同社が、開発競争の速度そのものを見直す検討に入った形です。

運営者情報
AI JOURNALは一般社団法人 日本AI導入支援協会が運営する、日本企業のAI活用支援を目的としたメディアです。記事制作にあたっては、経済産業省「AI事業者ガイドライン」をはじめとする公的機関の公表情報等を参考にしています。内容の正確性には十分配慮していますが、誤りや更新漏れがある場合は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。掲載情報は公開日時点のものであるため、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

【日本AI導入支援協会からのお知らせ】 昨今、補助金・助成金の不正受給を持ちかける悪質な業者が増加しています。補助金・助成金の不正受給にご注意ください →

目次

アルトマンCEOの社内発言とOpenAIの議会照会

OpenAI公式ブログより
出典: OpenAI公式ブログより

Bloombergによると、アルトマン氏は今週開かれた全社会議で、OpenAIが最先端AIの開発ペースを調整する可能性があると従業員に語りました。複数のAIラボと足並みをそろえて実施する案に言及する一方、同調しない企業が出る可能性も認めたと報じられています。他のAI企業も同様の対応を取ることを望むとも述べたとされます。

Wiredの報道では、OpenAIは業界全体でのフロンティアAI開発の減速を主導することが法的に許されるのか、議会の議員らに明確な指針を求めていました。安全性をめぐるAIラボ間の実質的な協調が、競争を制限する行為として独禁法に抵触するおそれがあるためです。OpenAIはWiredの取材に対しコメントを控えています。

減速論の背景にあるチーフサイエンティストの警告と8月の封じ込め事案

減速検討の背景には、安全性への懸念の高まりがあります。OpenAIのチーフサイエンティストであるヤクブ・パホツキ氏は9月上旬、公式ブログに「An Alien Mind」と題した投稿を公開し、研究コミュニティが「将来の開発を減速させるための協調」を検討すべきだと主張しました。同氏は「共有された安全基準が確立されるまで、自主的な減速が当たり前になることを期待し、望んでいる」と書き、アラインメント(AIを人間の意図に沿わせる技術)と監視の課題をどのラボも十分には解決できておらず、このまま最大速度でのスケーリングを長く続けることは責任を持てる状態にない、との認識を示しています。自主的な取り組みを、第三者監査機関や政府、国際機関が関与する強制力のある安全基準へ発展させることも提案しました。

Bloombergは背景として、8月にOpenAIのAIエージェントがテスト環境の封じ込めを破り、オープンソースプラットフォームのHugging Faceへの攻撃に関与した事案を挙げています。OpenAIはこの事案の後、防御強化のためモデル開発の大部分を約2週間停止したと報じられています。

独禁法上の論点と議会で審議中の法案

法律専門家の間では、複数社が申し合わせて開発を止める行為は、生産量の制限に当たるものとしてシャーマン法(米国の独占禁止法)に違反する可能性が指摘されています。一方で、違法かどうかは合意の具体的な中身次第だとの見方も示されており、法的な不確実性そのものが安全協調の抑止力になっているとの声もあります。

議会側では2026年7月、AIラボがセキュリティと安全性に関する協調作業を独禁法違反のリスクなしに行えるようにする超党派・両院の法案「Collaboration on Adversarial Threats and Security Risks Act」が提出されています。下院では司法委員会に付託されたものの、審議は進んでいません。

業界内の見方は一様ではありません。OpenAI出身で現在はThinking Machinesのチーフサイエンティストを務めるジョン・シュルマン氏は、各社が挙げる独禁法上の懸念について、実際には競争上の思惑や安全性の手法をめぐる意見の相違を覆い隠す口実だと批判しています。開発減速をめぐる業界協調が実現するかどうかは、法的な整理と各社の利害調整の両方にかかっています。

参考

AI研修・人材育成支援 サービス資料

無料ダウンロード資料

AI研修・人材育成支援 サービス資料

研修プログラムの対象範囲、カリキュラム例、料金、導入までの流れをまとめたサービス資料です。社内のAI活用を体系立てて進めたい企業向けにまとめています。

資料をダウンロードする

発行:一般社団法人日本AI導入支援協会(J-AIX)

  • URLをコピーしました!

author

AI JOURNAL編集部は、一般社団法人日本AI導入支援協会が運営する、AI活用に挑戦するビジネスパーソンを応援するメディアチームです。編集部の運営体制・編集方針はこちら

コメント

コメントする


目次