ソニーとワーナー系の音楽出版35社がAnthropicを著作権侵害で提訴、歌詞の無断学習で1曲最大15万ドルの賠償を請求

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ソニー・ミュージックパブリッシングとワーナー・チャペル・ミュージックを中心とする音楽出版社35社が、2026年8月28日(現地時間)、Anthropicと同社のダリオ・アモデイCEO、共同創業者のベンジャミン・マン氏を著作権侵害で米カリフォルニア州北部地区連邦地裁に提訴しました。数万曲の歌詞を無断で取得し、AIモデル「Claude」の学習と出力に使ったとして、故意の侵害1作品あたり最大15万ドルの法定損害賠償を求めています。対象楽曲数を踏まえると、認められた場合の賠償額は数十億ドル規模に達する可能性があります。

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ソニー・ミュージックパブリッシングとワーナー・チャペルが訴状で主張した内容

TechCrunchの報道記事より
出典: TechCrunchの報道記事より

原告はソニー・ミュージックパブリッシング系24社とワーナー・チャペル系11社の計35社です。48ページの訴状は、Anthropicの行為を「大規模に著作権物を違法にトレントし、スクレイピングし、ダウンロードする、あからさまなキャンペーン」と表現し、「史上最大かつ最も露骨な、現在も続く知的財産の窃盗のひとつ」と位置づけています。

取得経路として訴状が挙げるのは、主に3つです。第一に海賊版書籍サイトからのBitTorrentによる大量ダウンロードで、2021年6月にマン氏がLibrary Genesis(LibGen)から500万冊以上、2022年7月に従業員がPirate Library Mirror(PiLiMi)から200万冊以上を取得したとしています。この2件は、作家らが起こした集団訴訟(Bartz対Anthropic)で明らかになった事実を引用したものです。第二に、歌詞サイトのMusixmatchとLyricFindからの無許可スクレイピングです。第三に、Books3、The Pile、Common Crawlといった既存データセットの利用です。

訴状はさらに、学習データの整形工程で著作権表示や作詞者名などの著作権管理情報(CMI)を意図的に除去したと主張し、この点について1件あたり最大2万5000ドルの法定損害賠償も求めています。出力面では、Claudeが原告の管理楽曲の歌詞をそのまま再現できると指摘し、過去の訴訟を受けて導入されたガードレール(不適切な出力を防ぐ制御)は「再度プロンプトを入力するだけで容易に回避できる」としています。

対象楽曲の例として、「Livin’ On a Prayer」「September」「Hallelujah」「Eye of the Tiger」「Uptown Funk」「All I Want for Christmas Is You」「Ain’t No Mountain High Enough」、テイラー・スウィフトの「Paper Rings」が挙げられています。原告は損害賠償に加え、陪審裁判、侵害コピーの破棄、Claudeの学習データの開示、差し止めを求めています。代理人は、後述するConcord・UMG訴訟を主導するOppenheim + ZebrakとPryor Cashmanです。

Anthropicの反応と、音楽業界からの相次ぐ提訴

Anthropicの広報担当者は報道各社に対し、「出版社側の主張には同意できず、法廷で徹底的に争う」とコメントしています。公式ブログ等での声明は8月31日時点で出ていません。

音楽出版社によるAnthropicへの提訴は、今回で4件目です。今回の訴訟により、大手3社(ユニバーサル、ソニー、ワーナー)の音楽出版部門がすべてAnthropicと係争中になりました。

時期 原告 概要
2023年10月 Concord、ユニバーサル・ミュージック・パブリッシング、ABKCO 約500曲を対象に提訴。2026年1月の訴状修正で対象を2万曲超に拡大し、30億ドル超を請求
2026年3月 BMG 493曲を対象に提訴
2026年8月17日 Round Hill Music AnthropicとSunoを提訴
2026年8月28日 ソニー・ミュージックパブリッシング系とワーナー・チャペル系の35社 数万曲を対象に提訴。1曲最大15万ドル、CMI除去1件最大2万5000ドルを請求

背景には、書籍分野での前例があります。Anthropicは2025年9月、作家らの集団訴訟で15億ドルの和解に合意し、2026年7月に最終承認を受けました。同訴訟では「合法的に入手した著作物での学習はフェアユース(公正利用)に当たり得るが、海賊版サイトからの取得は別問題」という判断が示されており、今回の訴状もこの海賊版取得の事実を土台にしています。原告は15億ドルの和解について、Anthropicが「事業継続のコストにすぎないと考えていることは明らかだ」と批判しています。

AI企業の学習データをめぐる法的リスクの位置づけ

今回の訴訟は、学習に使ったデータの「入手経路」と、モデルが著作物を「そのまま出力するか」の2点を争点にしています。学習行為そのものがフェアユースに当たるかという議論とは切り分けられており、海賊版データの取得やCMIの除去といった、AI以前から違法性が明確な行為を中心に組み立てられている点が特徴です。

Anthropicは第2四半期の売上高が115億ドルを超え、IPOに向けた報道も出ている段階です。数十億ドル規模の請求が複数並行する状況は、同社の事業にとって無視できない規模になっています。企業がClaudeをはじめとする生成AIを業務利用する際は、著作権のある歌詞や文章をそのまま出力させない運用ルールを設けることが、自社側のリスク低減につながります。

参考

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