紙とPDFを社内ナレッジに変える。AI-OCRとRAGを一体化した「AIRO」を提供する株式会社ゼネックコミュニケーションにインタビュー

紙とPDFを社内ナレッジに変える 牧野弘之氏 株式会社ゼネックコミュニケーション
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株式会社ゼネックコミュニケーションは、AWS・クラウド支援、IoTソリューション、アプリケーション・システム開発を手がけるエンジニアリング・ITソリューション企業です。

同社が2026年6月に提供を開始した「AIRO(アイロ)」は、紙帳票やPDFをAI-OCRで読み取り、社内に蓄積された情報を検索・活用できる形へ変換するサービスです。
RAG(検索拡張生成)技術を組み合わせることで、データ化した情報について、生成AIへ質問しながら必要な情報を探し出せる環境を提供します。

帳票ごとに事前の読み取り設定を行う必要がなく、ファイルをアップロードするだけで、文脈や表の構造を解析して必要な情報を自動で抽出。また、申し込みから最短3営業日で利用を開始できます。
今回は、紙帳票やPDFの「デジタル化」だけでは解決しにくい、社内情報の検索・活用に関する課題をはじめ、AIROの仕組みや特徴、製造業・多店舗展開企業における活用事例について、AIROのプロダクト責任者である牧野弘之氏にお話を伺いました。

牧野弘之氏 プロフィール

株式会社ゼネックコミュニケーション 取締役 / プロダクト責任者

大学卒業後、広告代理店にてマーケティングやイベント企画に携わる。
2006年に株式会社ゼネックコミュニケーションへ入社し、技術者派遣営業を経験したのち、グループ会社にてITインフラや基幹システム構築を手がけるソリューション営業の責任者として研鑽を積む。
その後、株式会社ゼネックコミュニケーション取締役に就任。
現在は、クラウド(AWS)・IoT・AIを事業の中核に据え、企業各社の現場DX推進や新規プロダクトの企画・事業化を牽引。
AWSエンジニアの育成やクラウド活用支援、エンジニアリング組織のマネジメントを担うほか、自社プロダクトの立ち上げから事業拡大までを一貫して統括し、プロダクト責任者を兼務する。
現場と経営、双方の視点を行き来しながら技術を実装に落とし込むことを信条とし、AWSやデータ活用をテーマとしたカンファレンスへの登壇実績も多数。
現場に根差した知見を社外へも発信し続けている。

目次

事業概要とAIRO立ち上げの経緯

貴社の事業概要と、今回ご紹介いただくサービスの位置づけを教えてください。

株式会社ゼネックコミュニケーションは、京都に本社を置き、東京・大阪・福岡にも拠点を持つエンジニアリング・ITソリューション企業です。
AWS・クラウド支援、IoTソリューション、アプリケーション・システム開発の3つの領域を中心に、企業の課題解決とDXを支援しています。

今回ご紹介するAIRO(アイロ)は、その中でもクラウドやデータ活用の技術を生かして開発されたサービスです。単なる業務効率化ツールにとどまらず、企業の中に眠っている紙書類やPDFを、AIが活用できるデジタル資産、いわば社内ナレッジへと変換するソリューションとして、2026年6月にサービスを開始しました。

このサービス・事業を立ち上げるに至った経緯を教えてください。

きっかけは、これまで数多くの企業様のクラウド化やデータ活用をご支援するなかで直面してきた、紙とPDFという深い溝でした。DXの掛け声のもと、チャットボットや生成AIの導入が進む一方で、現場でやり取りされる重要な情報の多くは、今も紙の帳票やスキャンされたPDF、手書きの報告書の中に眠ったままです。

実際に、多くの企業様から「生成AIを導入したいが、社内データの活かし方がわからない」「帳票をデータ化しただけで、結局ナレッジとして使えていない」といったお声を数多くいただいてきました。すでにAI-OCRを導入された企業様からも、「文字は読み取れたが、そのデータをどこに置いてどう探せばいいのかわからない」「結局Excelへの転記や検索といった手作業が残ってしまう」というお悩みを伺うことが少なくありませんでした。
データ化するだけで終わらせず、データ化した瞬間から社内全員がAIに質問して使いこなせる状態まで一気に引き上げる。
そこまでやり切らなければ、本当のDXにはならない。それが、開発の原点にある思いです。

こうした現場のリアルな課題と、AWSクラウド構築・データ基盤づくりで培ってきた当社のノウハウ、そして最新のRAG(検索拡張生成)技術を掛け合わせることで、事前設定は不要、ご注文から最短3営業日でご利用を開始いただけるサービスとして実現できたのがAIROです。

解決する課題とターゲット

貴社のサービスが解決しようとしている課題について教えてください。

私たちが解決しようとしているのは、情報のデジタル化(Digitization)とナレッジ化(Digital Transformation)の間にある分断です。

表面的な課題は、データ入力の手間や書類を探す時間の無駄ですが、その奥にある本質的な構造問題は以下の3点です。

  1. 非構造化データ(紙・PDF・手書き)のブラックボックス化
    企業内のデータの8割以上は非構造化データと言われています。データ化されないままフォルダの奥底に眠り、ベテラン社員の頭の中にしか残らない業務の属人化を引き起こしています。
  2. AI-OCR導入後の活用コストの高さ
    従来のOCRは、帳票のどの位置に何が書いてあるかを事前に定義・設定する必要があり、フォーマットが変わるたびに設定修正の工数が発生していました。
  3. 生成AIの回答精度の限界
    一般的な生成AIだけでは自社固有のルールや過去の経緯を答えられず、社内問合せや業務検索に実用しづらいという課題があります。

AIROは、高精度なAI-OCRによる読み取りとRAG(検索拡張生成)技術を標準で一体化させることで、これらの課題を解消します。

どのような企業がターゲットですか?

最もフィットするのは、次のような企業です。

  • 製造・建設・物流・不動産・医療・士業など、紙帳票やPDFマニュアル・仕様書が多く残る企業
  • 過去の取引履歴、社内規定・マニュアル、保守点検記録などの問合せ対応や検索に多くの時間を費やしている部署
  • 総務、人事、カスタマーサポート、購買・受発注部門など、大量の文書を扱う部署
  • AI導入を検討しているものの、自社にAIエンジニアがおらず、難しい事前設定やプログラミングができない企業

一方で、向かないケースも正直にお答えします。すでに全ての社内データが綺麗なデータベース(SQL等)に構造化されており、紙やPDFのやり取りが全く存在しない完全ペーパーレス企業や、ミリ単位の完全固定レイアウト帳票のみを扱い、既存のルールベースOCRで100%自動化が完結している企業です。こうした企業には、AIROの価値は届きにくいと考えています。

バラバラなフォーマットのPDFや手書き書類が大量にあり、探すのも入力するのも大変という泥臭い現場の課題を抱える企業様にこそ、最大の価値を提供できます。

サービスの特徴と提供の流れ

サービスの特徴・強みを教えてください。

大きく3つの独自性があります。

  1. AI-OCRとRAG(AI検索)の一体型提供
    従来のツールはOCRソフトと社内AI検索ツールが別々であり、導入コストや連携システム構築の手間が二重にかかっていました。AIROは最初からAI-OCRとRAGがシームレスに結びついています。これを実現できるのは、当社が長年培ってきたクラウド構築技術と、最新の自然言語処理・ベクトル検索基盤を最適に組み合わせて自社開発しているためです。
  2. 事前設定不要の置くだけAI解析
    一般的なOCRでは、読み取る位置をあらかじめ指定する座標定義が必要になるケースがあります。AIROは非定型文書であっても、ファイルをアップロードするだけでAIが文章の文脈や表構造を理解して自動抽出し、検索可能な状態に変換します。レイアウト認識とAIによる解析を組み合わせることで、事前の帳票設定を抑えた運用を実現しています。
  3. 手書き文字・複雑な表形式・訂正箇所にも対応する高精度読み取り
    訂正印や見消し線、黒塗り、手書きのメモが混ざった実務書類でも、不要情報を判別しながら必要なデータを抽出・構造化します。長文の契約書や複雑な記号・数値が並ぶ仕様書にも対応できる点が特長です。

サービス提供の流れを教えてください(問い合わせ〜提供完了まで)

導入決定までのハードルを極力下げ、スピーディにお試しいただけるフローを整えています。

  1. お問い合わせ・ヒアリング
    現在の課題感、対象となる文書の種別(紙・PDF・手書き等)、想定利用部署をお伺いします。
  2. 14日間の無料トライアル
    お客様ご自身の実際の業務書類を使って、AI-OCRの読み取り精度やAI検索の応答精度をお試しいただけます。専門知識は不要で、ブラウザから利用できます。
  3. 効果検証・運用設計
    トライアルでの読み取り結果や検索精度をもとに、最適な利用方法や社内展開プランをご提案します。必要に応じてAPI連携や後続システムとの連携設計も行います。
  4. 本契約・本格運用スタート
    企業の規模や利用目的に合わせたプランを選択いただき、本格運用を開始します。導入後も当社の専門チームがサポートいたします。

料金体系について、公開できる範囲で教えてください。

お客様の利用規模や必要機能に応じて柔軟に選べる3つのプランをご用意しております。

  • Liteプラン:スモールスタートしたい部署・小規模企業向け。手軽なAI-OCRデータ化と基本的な活用に対応します。
  • Standardプラン:標準的な社内ナレッジ活用・帳票処理自動化を目指す中核プランです。
  • Enterpriseプラン:大規模利用や高度な運用を想定したプランです。

まずはお手元の書類で精度をご確認いただけるよう、14日間の無料トライアルを提供しております。初期費用はなく、月額サブスクリプション形式でご提供しています。

導入事例と実績

印象に残っている導入事例を教えてください。

事例① 製造業(受発注・仕様書管理部門)

導入前は、取引先ごとにフォーマットが異なるFAXやPDFの注文書・仕様書が毎日数百枚届き、手入力による転記作業と確認作業で残業が常態化していました。過去の類似製品の仕様問い合わせにも、紙のファイルを引っ張り出して探す状態でした。

そこでAIROを導入し、届いたPDFをフォルダに集約。非定型注文書からの自動抽出と、過去の仕様書を自然言語で検索できる環境を構築しました。

導入後は、データ入力工数が約70%削減され、手入力ミスも大幅に減少。過去資料の検索時間が1件あたり15分から数秒へ短縮されました。

事例② 多店舗展開企業(総務・労務・社内問合せ部門)

導入前は、社内規定やマニュアルが分散・PDF化されており、店舗スタッフからの電話・メール問合せ対応に本部スタッフの手が忙殺されていました。

そこで各種マニュアル・ガイドラインPDFをAIROに集約。スタッフがAIROに自然言語で質問するだけで、該当箇所の根拠文書とともに回答を得られる環境を構築しました。

導入後は本部への問合せ件数が半減し、業務の脱属人化につながりました。

導入実績について教えてください。

2026年6月のサービスリリース以降、製造業、建設業、ITサービス業、物流・流通業、士業法人など、幅広い業界の企業様からお問い合わせと導入トライアルをいただいております。

特に、紙帳票の処理自動化と社内規定・技術文書のナレッジ共有という2つのユースケースを中心に、業界を問わず汎用的にご活用いただける点が評価されています。

今後の展望とメッセージ

今後の展望と、サービスを通じて実現したい未来について教えてください。

私たちが目指しているのは、社内のあらゆる情報がシームレスにつながり、誰もが瞬時に欲しいナレッジにアクセスできる世界です。

今後は、AIエージェント機能をさらに強化し、単に読み取る、検索するだけでなく、データを読み取った後、会計システムやCRMへ自動転記し、申請承認まで自律的に完結させるワークフロー自動化を拡大してまいります。

また、当社の強みであるAWSクラウド基盤やIoTプラットフォームとの連携も深め、現場のリアルタイムデータと文書ナレッジが統合された真のエンタープライズAI基盤へ進化させていく予定です。

AI導入を検討中の企業担当者の方に向けて、メッセージをお願いします。

AI導入を検討される際、多くの方が、まず完璧なデータを整理しなければ、高額なAIコンサルを入れなければ、と構えてしまいがちです。しかし、私たちが現場でお伝えしているのは、完璧を目指さず、まずは手元にある1枚のPDF・紙書類から試してみることです。

AI導入で避けなければならないのは、ツール導入自体が目的化し、現場が使いこなせない複雑なシステムを入れてしまうことです。AIROは、現場の誰もがマニュアルなしで直感的に操作できるシンプルなUI/UXにこだわりました。

自社の乱雑な書類が本当に読めるのか、欲しい答えが返ってくるのかを、ぜひ14日間の無料トライアルでご体感ください。自社に眠っていた文書が、頼れる社内アドバイザーへ変わる体験をご確認いただけます。

テクノロジーを現場の役に立つカタチに

当社の事業全般に言えることですが、根底にあるのは、最先端のテクノロジーをいかに社会や現場の役に立つカタチに変えられるかという強い想いです。

今回ご紹介したAIROだけでなく、当社が注力してきたAWSクラウド事業やIoTプラットフォームのIoT Stationも、すべてその思想から生まれています。

AWS事業は、単にクラウドへ移行するだけでなく、企業が持続的に成長し、変化に強いデジタル基盤を社会の中に作っていくために提供しています。IoT Stationは、現場の機器やセンサーのリアルな状態を可視化することで、インフラ監視や工場・施設の省力化など、社会の裏側を支える現場の安心・安全や効率化に貢献しています。

私たちが提供しているのは、単なる便利なITツールではありません。クラウド・IoT・AIという先進技術を組み合わせることで、人手不足や生産性の向上といった日本全体が抱える構造的な社会課題に対して、現場目線で実効性のある解決策を提示し続けることこそが、当社の存在意義だと考えています。

現場の困りごとをテクノロジーで解決し、社会をより良くしていく。この軸をぶらさずに、これからも企業や社会のDXを現場から全力で支援してまいります。

株式会社ゼネックコミュニケーションの企業概要

会社名 株式会社ゼネックコミュニケーション
代表者 代表取締役社長 美馬 芳彦
所在地 〒604-0845 京都市中京区烏丸通御池上る二条殿町552番地 明治安田生命京都ビル
設立 1992年11月13日
事業内容 クラウド・IoT・アプリケーション・システム開発を軸に、各専門領域の技術を横断的に組み合わせ、企業の業務課題解決に向けたソリューションを提供
公式サイト 株式会社ゼネックコミュニケーション 公式サイト

編集後記

AIROの核心は、AI-OCRとRAGを別々の道具として並べるのではなく、最初から一体で結びつけた点にあると感じました。

牧野氏が紙とPDFという深い溝と表現したように、文字を読み取れても、そのデータをどこに置き、どう探すかで手作業が残ってしまいます。

データ化した瞬間から社内の誰もがAIに質問して使える状態まで引き上げるという設計思想が、製造業での検索時間15分から数秒への短縮や、多店舗展開企業での問合せ件数半減といった事例に表れています。

向かないケースを正直に挙げる姿勢や、完璧を目指さず、まずは手元にある1枚のPDFから試すという提案も印象的でした。

自社にAIエンジニアがいない、乱雑な書類の入力と検索に時間を奪われている、といった課題に心当たりのある企業担当者の方は、14日間の無料トライアルで自社の書類がどこまで読めるかを確かめてみてはいかがでしょうか。

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発行:一般社団法人日本AI導入支援協会

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