2026年6月10日(水)~12日(金)、幕張メッセにて初開催を迎える「AI NATIVE EXPO」。その前身であるスマホアプリ系イベント「APPS JAPAN(アプリジャパン)」から名称を一新し、生成AI時代の事業活動を支える総合プラットフォームとして再始動します。今回、主催者である株式会社ナノオプト・メディア 代表取締役社長 大嶋 康彰氏にお話を伺い、開催に込めた想い、コンセプト、見どころ、そして日本企業が今このタイミングでAIと向き合うべき理由について、じっくりとお聞きしました。
大嶋 康彰(おおしま やすあき)氏

株式会社ナノオプト・メディア 代表取締役社長
1972年、東京都生まれ。ネバダ州立大学ラスベガス校(UNLV)在学中に、IT分野の大規模トレードショー「COMDEX」にインターンとして参加したことを機にイベント業界入りを決意。1996年1月、ソフトバンクエキスポ株式会社(現・株式会社ナノオプト・メディア)に入社。IT分野のトレードショーやコンファレンスのイベント現場経験を積んだ後、1994年から続くインターネットテクノロジーイベント「Interop Tokyo」などの統括、新規イベントのプロデュース、新規事業開発に従事。取締役COOを経て、2021年7月1日付で代表取締役社長に就任、現在に至る。
運営者情報
AI JOURNALは一般社団法人 日本AI導入支援協会が運営する、日本企業のAI活用支援を目的としたメディアです。記事制作にあたっては、経済産業省「AI事業者ガイドライン」をはじめとする公的機関の公表情報等を参考にしています。内容の正確性には十分配慮していますが、誤りや更新漏れがある場合は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。掲載情報は公開日時点のものであるため、最新情報は公式サイト等でご確認ください。
取材日:2026年5月15日 / 取材方法:オンラインインタビュー
AI NATIVE EXPO開催への想いとコンセプト
開催に込めた想いをお聞かせください。
AI NATIVE EXPOは今回が初開催ですが、前身となるイベントがありました。スマホアプリの開発者や、アプリを自社で持ちたい、開発を発注したいという方々を対象に、「APPS JAPAN(アプリジャパン)」として10年ほど続けてきたものです。ここ2年ほどでセミナー内容も来場者の関心も生成AI領域に大きく寄ってきたため、今年から名称を改め、AI NATIVE EXPOとして活動を開始しています。
スマホアプリの登場がビジネスシーンを大きく変えたように、いま生成AIによって事業活動そのものが大きな転換点を迎えています。本イベントでお伝えしたいのは、AIは単なる業務効率化のツールではなく、商品やサービスの設計、顧客接点、開発プロセス、意思決定、人材育成など、事業活動そのものを変えていくものだということです。「ツールを使って業務効率化できました、以上」ではなく、より踏み込んで事業そのものを発展させていく。そこに寄与したいと考えています。
こだわられたコンセプトを教えてください。
今回掲げたのは「開発」「運用」「業務実装」「ガバナンス」という4つの柱です。これを軸にセミナーのプログラムを企画し、出展者の募集をかけています。初回ということもあり、APPS JAPANの時代よりもセミナーコンテンツに大きく力を入れ、3日間で50本近くを用意しました。同時開催イベントと会議場を共用していた従来とは異なり、今回はAI NATIVE EXPO専用の基調講演会場とセミナー会場を設け、本数も従来より多めに揃えています。
注目していただきたい基調講演やセミナーについて教えてください。
基調講演には、NVIDIA、Microsoft、AWS、Google、Oracleといったグローバルプレイヤーをお招きし、4つの柱に沿った内容でお話しいただきます。あわせて、専門的な分野でのディスカッションや、コーディングなどを解説する技術寄りの専門セミナーも用意しています。お一人ですべて聞き切るのは難しいぐらい情報を揃えていますので、社内で分担しながら参加いただきたいと考えています。
▽登壇者一覧はこちら
https://www.ainative-expo.jp/2026/speaker/
いまAI NATIVE EXPOを開催する意義と磨き上げたポイント

昨年の同会場・展示エリアの様子
AIをめぐる動きが日々加速するなか、いまこのタイミングで開催する意義をお聞かせください。
日本企業、特に大企業は、AI活用の実導入に二の足を踏んでしまうところがあります。小手先だけで満足してしまっている企業も少なくありません。やはり事業活動に踏み込んでいくところを進めていただきたい。海外の動向を見ている方からすると、日本のAI活用はまだまだ、ポジティブに言えば「伸びしろがある」状況です。だからこそ、いまが後押しできるタイミングだと考えています。
IT業界の歴史を振り返ると、日本にはどのような傾向があるとお考えですか?
日本は新しい技術の波への対応で、同じパターンを繰り返してきた部分があると感じています。私自身がこの会社に入った1994年はインターネット黎明期で、一人ひとつメールアドレスもない、ブラウザもクリックしてから待つ時間が長い時代でした。「インターネット、本当に使えるのか」といった声も多く、何かを転換させる動きには日本は時間がかかる傾向があります。
その後ブロードバンドが普及し、クラウドコンピューティングの波が来た時も、いまでいうSaaS型のサービスに対して「データを社外に置くのはどうなのか」という反応が多くありました。ベンダー側もオンプレミスのシステムで生業を立てていた時代だったため、SaaSのサブスクモデルへの転換が遅れ、いつの間にかクラウドの波で日本企業が後れを取り、外資にシェアを奪われていった歴史があると見ています。
AI領域では、日本の強みをどう発揮していけるとお考えですか?
生成AIも、いままさにプラットフォーム領域では外資に主導権を奪われている状況です。ただ、ツールを使ってよりよいものに変えていくところは日本企業が得意な部分だと考えています。そこで強みを発揮していただける視点で、ぜひイベントを見ていただきたいですね。
産業ロボットのような分野は日本が得意で、強みを生かせる部分だと思います。一方でヒューマノイドロボットなどは、ハードウェアそのものがほぼ中国製になっており、いまから勝負し直すのは容易ではありません。ハードを使いつつ、ソフトウェアの部分でどう勝負していくかが、これからの勝負どころになります。若い世代の方々にもぜひ頑張っていただきたいです。
過去のイベントから磨き上げたポイントをお聞かせください。
まず今回は名称を改めてやっていること自体が、一番大きな挑戦と言えます。イベント構成自体は他の展示会と比べてユニークというよりは、整理の仕方です。他のAIイベントは活用面だけをフィーチャーするものが多い印象ですが、開発・運用・実装・ガバナンスを総合的に捉えるコンセプトは、他にはあまりないと考えています。
最も磨き上げたポイントはセミナーのコンテンツです。APPS JAPANの時代から生成AI寄りのテーマは多かったのですが、今回は本数を増やし、50本近くを揃えました。他のAIイベントと比べても、ここまでセミナーに力を入れている例は多くないと考えています。
展示と講演・セミナーの見どころ

昨年の展示会場・各社ブースの様子
展示エリアの見どころと、おすすめの回り方を教えてください。
展示についても4つの分野で出展募集をしていますが、「ここが開発」「ここが運用」というようなゾーニングはせず、全体を見ていただける構成にしています。特定のテーマで区切るというよりは、ぜひ全体をご覧いただきたいですね。今回は基調講演会場もセミナー会場も展示場の中に設けていますので、聞いて見て、という動きがやりやすい構成です。会場の中でセミナーを聞く時間と展示を見る時間を分担しながら回っていただければと思います。
加えて、AI NATIVE EXPOの隣で同時開催されるInterop Tokyoとも自由に行き来できますので、情報システムやインフラを担当されている方であれば、サイバーセキュリティ対策などをあわせてご覧いただけます。
講演やセミナーの見どころについてお聞かせください。
基調講演は午前中にビッグテック系を集約し、午後はより専門的な分科会を用意しています。実際に開発に携わる方にも、セキュリティを担当する方にも聞いていただきたい内容です。AIを導入し、開発に活用し、生成AIのツール活用を推進する人たちは、セキュリティやガバナンスについても押さえておかないと、「シャドーAI*」のようなものが生まれ、そこからリスクが顕在化することも考えられます。より実践的な内容を午後に詰め込んだ構成にしています。
* シャドーAI:企業のIT部門や情報セキュリティ部門が正式に承認・管理していない生成AIなどのAIツールを、従業員が個人の判断で業務利用すること、またはその状態を指す用語。シャドーIT(社内で許可されていないITサービスの利用)のAI版として位置づけられ、機密情報の漏洩、入力データの学習利用、コンプライアンス違反などのリスクをはらむ概念。
同時開催のInterop Tokyo 2026について

昨年6月開催のInterop Tokyo 2025・開場前の入場列
AI NATIVE EXPOのルーツとなる同時開催イベントについても、お聞かせいただけますか?
AI NATIVE EXPOのルーツとなるイベントとして、Interop Tokyo 2026も同時開催されます。1994年、日本のインターネット黎明期から続いてきたイベントで、AIインフラと呼ばれる分野(通信、データセンター、サイバーセキュリティなど)が色濃いイベントです。AIを使っている方々も、自分たちのAIインフラがどのように支えられているのかを知っておくと、興味深いはずです。
特にサイバーセキュリティについては、AI活用時に気をつけなければいけない身近な話題でもあります。これまで見つけられなかったサイバーセキュリティの脆弱性をAIが見つけてしまうという話も出てきており、AIが企業の脆弱性を狙ってくる時代が現実のものとなりつつあります。その実態がどうなっているかは、Interop Tokyoの展示などで確認いただけます。AI時代の明るい部分と、備えなければならない部分、両面を見ていただけると、実のある見学になるはずです。
来場者と出展者に向けたリアルの場の価値

昨年の同会場・通路を埋める来場者
来場された方に、どのような体験を持ち帰っていただきたいとお考えですか?
展示会には目当てがあって来られる方ももちろん多いですが、それ以外の「偶然の発見」や「偶然知ってしまった情報」、私たちが「セレンディピティ(偶然の出会いや発見)」と呼んでいるものが起きると、意義深いと感じています。偶然の出会いから生まれる化学反応に、強く期待している部分です。
コロナ禍を経てリアルイベントが徐々に復活し、いまではBtoBのイベントだけでなくスポーツやエンタメも活況です。生で見ること、人にリアルに解説してもらう体験は、オンラインベースとはやはり違うと、世の中全体で再認識した部分があると考えています。
せっかく来ていただいたのであれば、出展ブースを流し見するウィンドウショッピング的なことだけでなく、話を聞いていただくと「こんな使い方が自分の会社でもできるかも」「この会社と新しいビジネスができるかも」「この知見を自社に活かせるかも」と、いろいろな可能性が見えてきます。受け身ではなく、自ら積極的に動いていただけるとうれしいですね。
異なる業界・職種の方が出会うことで、どのような化学反応が生まれていますか?
ある出展者の方からは、自分たちはある用途で製品をアピールしていたのに、まったく違う業界の方が来て「こういう使い方できませんかね」という話で盛り上がり、新しいソリューションができあがった、というお話を伺いました。出展者も来場者も、それぞれにターゲットや目的があるなかで、それ以外の部分から新しいものが生まれる。そこが面白いところだと考えています。
リアルな場で人が集まることの価値を、どのようにお考えでしょうか?
情報だけならオンラインでも収集できますし、生成AIを活用すれば高い精度で情報整理までしてくれます。それはそれでいいとして、最後はやはり人間が進化していかなければならない部分があり、人間がやらなければならないこともあります。それが物理空間であり、リアルイベントの役割だと考えています。
実際に人と会ってネットワーキングする、画面で見ているサービスを実際に動いている状態で見せてもらう、ハードウェアの実物を見るといったことは、実空間でしかできません。オンラインで完結する部分、人間ができること、物理空間でしかできないこと、この三つ巴でやっていけるといいですし、それぞれに価値があります。
出展企業の皆様に、主催者としてどのような期待を寄せていらっしゃいますか?
出展者の方々には、単なる製品紹介をするだけではなく、来場者の企業がAIネイティブな体制に移っていけるよう、道筋をサポートしていただくような対応をお願いしたいです。来場各社でAIへの立ち位置や取り組み度合いは大きく異なりますので、しっかりと会話を重ねていただきたいですね。
立ち寄ってくださった方に「バッジスキャンさせてください」と切り出すだけではなく、しっかりと話をしていただけると、来場者との距離もぐっと近くなります。手当たり次第に声をかけるよりは、看板に関心を示している方にお声がけする方が、自然なきっかけになりますし、結果的に質の高いリードにつながるはずです。開催後のフォローを考えても、関心のない方にあれこれお渡しするよりは、関心のありそうな方にしっかりとご説明いただく方が効果的だと考えています。
業界への期待と今後の展望
主催者として、ご自身が最も楽しみにされていることは何ですか?
個人的には、先ほどお話したセレンディピティのような結果が、出展者や来場者のアンケートから聞こえてくると、意義を強く感じます。私たちは情報との出会い、出展者との出会い、講演者と来場者の出会いなど、さまざまな出会いの機会を提供している立場です。そこでどのような化学反応が生まれてくるのかが、最も楽しみな部分です。そこでのいい反応が聞こえてくると、主催者冥利に尽きると感じます。
業界や社会にどのような変化を期待されていますか。今後の展望もあわせてお聞かせください。
日本企業のデータ活用がまだあまり進んでいないところを後押しでき、産業の発展につながるような場にできればと考えています。AIの波はこれからも続きますので、引き続きAI時代の事業活動を支えるプラットフォームとして取り組んでいきたいです。「AI NATIVE」と冠していることが肝で、AI前提社会へとどんどん近づいていくと考えています。それに準じた貢献ができる活動を続けていきたいです。本来であれば海外からの参加も広げていきたいのですが、日本の展示会には難しい部分もあります。まずは国内産業に寄与できる取り組みを続けていきたいと思っています。
読者の皆様へのメッセージ
最後に、本イベントへの来場を検討されている読者の皆様へ、メッセージをお願いいたします。
日々ChatGPTだけ使っていればいい、と思っている方には、ぜひこのイベントに足を運んでいただき、もう少しいろいろなことができること、気をつけなければいけないことがあること、を見ていただきたいです。経営者の方々は、この波に遅れてしまうと今後の競争力に影響が出ますので、そこも意識しながら見ていただきたいです。人材育成についても、育てなければいけない内容がどんどん変わってきています。生成AIが出てきてから関連する仕事も増えており、どのツールを自社に合わせて入れていくか、人材をどう教育していくか、そういったところも含めて見ていただきたいです。幅広い層に関係のあるイベントになっていますので、ぜひお誘い合わせの上、ご来場いただきたいです。
編集後記
今回の取材で印象に残ったのは、「大きな伸びしろのタイミング」という言葉でした。インターネット黎明期、クラウドの普及期と、技術の大きな転換点で日本企業が一歩遅れてきた歴史を踏まえつつ、それでも「ツールを使っていいものに変えていくのは日本企業が得意な部分」と前向きに語られる姿勢に、本イベントの根幹を成す問題意識が表れていたように感じます。
「開発」「運用」「業務実装」「ガバナンス」の4つの柱は、AIを単なる業務効率化ツールとして消費するのではなく、事業活動そのものを再構築する視点に立つという、明確なメッセージでもあります。基調講演にビッグテックを揃え、午後には現場の実装やセキュリティに踏み込む構成は、経営層から実装担当者まで、立場を問わず学びを持ち帰れる設計と言えます。
同時に、シャドーAIへの警鐘や、AIが企業の脆弱性を突く時代が現実化しつつあるという指摘は、AIを積極的に活用する企業ほど直視しなければならないテーマです。「明るい部分と備えなければならない部分の両面を見てほしい」という大嶋社長の言葉は、当協会がAI導入支援の現場で日々向き合っている課題感とも深く重なります。
AI JOURNALを運営する一般社団法人日本AI導入支援協会(J-AIX)は、本イベントの後援団体として参画しております。会場では、リアルだからこそ生まれる「セレンディピティ(偶然の出会いや発見)」が、読者の皆様の事業を次の段階へ進める一歩につながることを願ってやみません。ぜひ会場にて、AI前提社会のリアルを体感してみてください。
イベント開催概要・取材先企業情報
AI NATIVE EXPO 2026 開催概要
| 名称 | AI NATIVE EXPO 2026 |
|---|---|
| 会期 | 2026年6月10日(水)~6月12日(金)(3日間) |
| 会場 | 幕張メッセ(国際展示場 展示ホール3~8 / 国際会議場) |
| 主催 | AI NATIVE EXPO 実行委員会 |
| 運営 | 株式会社ナノオプト・メディア |
| 入場料 | 無料(オンライン登録制 / 会期3日間有効) ※Interop Tokyo カンファレンスのみ別途有料登録 |
| 同時開催 | Interop Tokyo 2026 / デジタルサイネージ ジャパン 2026 / 画像認識 AI Expo 2026 |
| 公式サイト | https://www.ainative-expo.jp/ |
各プログラムの開催スケジュール
| プログラム | 日程 | 時間 | 会場 |
|---|---|---|---|
| 展示会 / 展示会場内セミナー | 2026年6月10日(水)~12日(金) | 10:00~18:00 (最終日のみ17:00終了) |
国際展示場 展示ホール3~8 |
| 基調講演 | 2026年6月10日(水)~12日(金) | 9:30~ (初日のみOpening 9:15開始) |
国際会議場2F |
| Interop Tokyo カンファレンス ※参加には別途有料登録が必要 |
2026年6月10日(水)~12日(金) | ― | 国際会議場1F |
開発・運用・業務実装・ガバナンスの4つの柱でAI時代の事業活動を支える総合イベント、AI NATIVE EXPO。基調講演から専門セミナーまで、3日間で50本近いプログラムが予定されています。最新情報・申込・出展情報は公式サイトをご確認ください。
取材先企業情報
| 会社名 | 株式会社ナノオプト・メディア |
|---|---|
| 所在地 | 東京都新宿区新宿1丁目12-5 Uni-works新宿御苑3階 |
| 代表者 | 代表取締役会長 藤原 洋 代表取締役社長 大嶋 康彰 |
| 創業 | 1993年 |
| 設立 | 2000年2月 |
| 事業内容 | 情報通信分野を中心とした最先端の科学技術を伝えるイベント主催・運営事業 イベント運営の請負、リストサービスの提供などによるブランディング&PR支援事業 |
| 主要イベント | Interop Tokyo / AI NATIVE EXPO / デジタルサイネージ ジャパン / 画像認識 AI Expo ほか |
| 公式サイト | https://nanooptmedia.jp/ |




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