【2026年度】AI個人開発で使える補助金は?個人事業主・法人・副業ごとにを解説

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個人開発であってもAI関連の補助金を活用できるケースはあります。ただし、ここでいう「個人」とは趣味でアプリを作る人ではなく、開業届を提出している個人事業主を指します。国の主要な補助金制度では、中小企業だけでなく小規模事業者も申請対象に含まれており、個人事業主はこの小規模事業者に該当します。

一方で、会社員が副業として行う開発や、開業届を出していないフリーランスの場合は、制度上の申請要件を満たさないことがほとんどです。補助金の活用を検討するなら、まず自分がどの立場で事業を行っているのかを整理することが出発点になります。本記事では、個人開発者が使えるAI関連補助金の種類や条件、注意点を具体的に解説していきます。

目次

補助金と助成金の違い|個人開発で使えるのはどっち?

「補助金」と「助成金」はどちらも返済不要の公的資金ですが、仕組みが異なります。個人開発者がAI関連で申請する場面では、この違いを正しく理解しておく必要があります。

補助金は、主に経済産業省や中小企業庁が管轄する制度です。公募期間中に事業計画書を提出し、審査を経て採択された場合にのみ交付されます。つまり、申請しても必ずもらえるわけではありません。代表的なものに「デジタル化・AI導入補助金」「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」などがあります。

一方、助成金は厚生労働省が管轄するものが多く、雇用の維持や人材育成を目的としています。要件を満たせば原則として受給できる点が補助金との大きな違いです。ただし、助成金は「従業員を雇用していること」が前提条件になるケースが大半です。一人で開発を行う個人事業主の場合、助成金の対象にならないことが少なくありません。

したがって、個人開発者がAI関連の公的資金を活用するなら、まず検討すべきは補助金のほうです。助成金は従業員を雇い入れた段階で選択肢に入ってきます。

比較項目 補助金 助成金
主な管轄 経済産業省・中小企業庁など 厚生労働省
受給の仕組み 公募・審査制(採択されないと受給不可) 要件を満たせば原則受給可能
主な目的 事業の生産性向上・設備投資・DX推進 雇用の維持・人材育成・労働環境改善
従業員の雇用 不要な制度が多い 雇用保険適用が前提の制度が多い
個人事業主の申請 開業届があれば申請可能な制度が複数ある 従業員がいない場合は対象外になりやすい
AI関連の活用例 AIツールの導入費用、
AIサービスの開発費用など
AI研修の受講費用、
AI人材の採用にかかる経費など

このように、補助金と助成金では管轄も目的も異なります。個人開発の文脈では、まず補助金から調べるのが効率的です。助成金は、事業が成長して人を雇うフェーズになったときに改めて検討するとよいでしょう。

個人開発でAI補助金が使えるケース・使えないケース

個人開発者がAI関連の補助金を利用できるかどうかは、「事業としての実態があるか」と「補助対象の要件に合致するか」の2点で決まります。ここでは、使えるケースと使えないケースを具体的に整理します。

まず使えるケースとして代表的なのは、開業届を提出済みの個人事業主が、自社の業務効率化を目的にAI搭載の業務ソフトを導入する場合です。たとえば、顧客対応にAIチャットボットを導入する、AI-OCRで請求書処理を自動化するといった用途は、デジタル化・AI導入補助金の通常枠で対象になる可能性があります。また、AIを活用した新サービスの開発に取り組む個人事業主であれば、ものづくり補助金の製品・サービス高付加価値化枠も選択肢に入ります。

一方、使えないケースもはっきりしています。まず、開業届を出していない個人は申請の土俵に立てません。趣味の延長でAIアプリを作っている段階では、事業性が認められず対象外です。副業であっても、事業所得として確定申告をしていなければ同様です。また、補助金は「登録済みのITツールを導入する」「事業計画に基づく設備投資を行う」など、制度ごとに使途が限定されています。「AIの勉強をしたい」「個人的にGPUサーバーを買いたい」といった目的では申請が通りません。

つまり、「事業としてAIを使う明確な理由がある」かどうかが分かれ目です。補助金の審査では、導入後にどのような生産性向上が見込めるかを具体的な数値で示す必要があります。個人開発であっても、事業計画の質が問われる点は法人と変わりません。

個人開発者が狙えるAI関連補助金3選【2026年版】

2026年度に個人事業主として申請を検討できるAI関連補助金は、主に3つあります。それぞれ補助額や対象経費、申請のハードルが異なるため、自分の事業規模や目的に合ったものを選ぶことが重要です。

1つ目は「デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)」です。2026年度から名称が変わり、AI活用への加点が強化されました。事務局に登録済みのITツールを導入する際に費用の一部が補助されます。通常枠の補助率は1/2で、補助上限は450万円です。個人事業主の申請実績も多く、申請手続きも他の補助金と比べて取り組みやすいのが特徴です。IT導入支援事業者と共同で申請する形式のため、書類作成の負担が比較的軽い点もメリットです。AIチャットボット、AI会計ソフト、AI搭載の顧客管理ツールなどの導入に向いています。

2つ目は「小規模事業者持続化補助金」です。販路開拓や業務効率化を目的とした取り組みを幅広く支援する制度で、AIツールの導入費用も対象経費に含まれます。通常枠の補助上限は50万円と小さめですが、インボイス特例や賃金引上げ特例を組み合わせると最大250万円まで引き上げられます。補助率は2/3です。商工会・商工会議所の支援を受けて申請する仕組みで、経営計画の作成段階からアドバイスを受けられます。小規模な投資でAIを試したい個人事業主に適しています。

3つ目は「ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)」です。革新的な製品・サービスの開発や、生産プロセスの改善に必要な設備投資を支援します。個人事業主も申請可能で、小規模事業者の場合は補助率が2/3になります。補助上限は従業員数に応じて750万円〜2,500万円と大きく、AIを活用した本格的なサービス開発にも対応できます。ただし、事業計画書の審査は厳しく、技術的な新規性や付加価値を論理的に説明する必要があります。採択率はおおむね30〜50%前後で推移しており、入念な準備が求められます。

比較項目 デジタル化・AI導入補助金 小規模事業者持続化補助金 ものづくり補助金
補助上限額 最大450万円(通常枠) 最大250万円(特例適用時)
通常枠は50万円
750万円〜2,500万円
(従業員数に応じて変動)
補助率 1/2
(条件により最大2/3)
2/3
(赤字事業者は3/4)
1/2(中小企業)
2/3(小規模事業者)
主な対象経費 ソフトウェア購入費、
クラウド利用料、
ハードウェア(条件付き)
機械装置費、広報費、
ウェブサイト関連費、
開発費など
機械装置・システム構築費、
技術導入費、
クラウドサービス利用費
AI活用例 AIチャットボット導入、
AI会計ソフト導入
AIマーケティングツール、
AI顧客管理の活用
AIサービスの新規開発、
AI品質管理システム構築
申請の難易度 比較的取り組みやすい
(IT導入支援事業者と共同)
商工会議所の支援あり
(経営計画の質が重要)
高い
(技術的新規性の説明が必要)
2026年の
申請時期
2026年3月30日〜
(1次締切:5月12日)
第19回:3月6日〜4月30日
第20回は夏頃の見込み
1〜3か月に1回の公募
(詳細は公式サイトで確認)

3つの補助金は、それぞれ投資の規模感が異なります。既存のAIツールを業務に取り入れたいなら「デジタル化・AI導入補助金」、少額でAI活用を始めたいなら「小規模事業者持続化補助金」、AI搭載の独自サービスを開発するなら「ものづくり補助金」が候補になります。自分の事業フェーズと照らし合わせて選びましょう。

個人開発でAI補助金を申請するときの注意点

補助金は「もらえるお金」というイメージが先行しがちですが、申請から受給までにはいくつもの落とし穴があります。個人開発者が押さえておくべき注意点を整理します。

最も重要なのは、補助金は後払い(精算払い)だという点です。まず自己資金で設備やサービスを購入し、事業完了後に報告書を提出して初めて補助金が振り込まれます。手元に資金がない状態で申請すると、採択されても事業を進められないリスクがあります。資金繰りの計画を事前に立てておくことが不可欠です。

次に、交付決定前の発注・購入は原則として補助対象外になります。「先に買っておいてから申請しよう」は通用しません。申請→採択→交付決定という流れを経てから、はじめて対象経費の支出が認められます。スケジュールを逆算して、導入時期を調整する必要があります。

また、GビズIDプライムの取得を早めに済ませておきましょう。補助金の電子申請にはGビズIDプライムが必須ですが、発行までに数週間かかる場合があります。公募開始直後は申請が集中するため、さらに遅れるケースも珍しくありません。申請を検討し始めた段階で、すぐに手続きを開始するのが安全です。

さらに、事業計画書の質が採択を左右します。「AIを導入して効率化したい」という抽象的な記述では審査を通過できません。現在の業務にどれだけ時間がかかっているか、AI導入後にどの程度の工数削減や売上向上が見込めるかを、数値で示す必要があります。個人事業主でも法人と同じ基準で審査されるため、計画の具体性と実現可能性が問われます。

個人事業主・法人・副業──申請主体別の使える制度まとめ

AI関連の補助金・助成金は、申請する主体の立場によって使える制度が大きく変わります。ここでは「個人事業主」「法人(中小企業)」「副業」の3つに分けて、それぞれの選択肢を整理します。

個人事業主(開業届提出済み)の場合、デジタル化・AI導入補助金、小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金のいずれも申請可能です。業種や従業員数の要件を満たしていれば、法人と同じ土俵で審査を受けられます。従業員を雇用している場合は、厚生労働省のキャリアアップ助成金や人材開発支援助成金も選択肢に入ります。

法人(中小企業)の場合は、個人事業主が使える制度に加えて、新事業進出補助金(旧 事業再構築補助金)や中小企業省力化投資補助金なども活用できます。組織としての実行体制や資金力をアピールしやすいため、大型の補助金でも採択されやすい傾向があります。

副業でAI開発を行っている場合は、注意が必要です。会社員が個人で行う副業は、開業届を出して事業所得として確定申告していれば形式上は個人事業主に該当します。しかし、事業の継続性や売上規模が小さいと、審査で不利になる可能性があります。また、雑所得として申告している段階では、そもそも申請要件を満たさないケースがほとんどです。副業から本格的に事業化するタイミングで補助金の活用を考えるのが現実的です。

比較項目 個人事業主 法人(中小企業) 副業(会社員)
デジタル化・
AI導入補助金
申請可能
(開業届が必要)
申請可能 開業届+事業所得の申告があれば
形式上は可能だが審査で不利
小規模事業者
持続化補助金
申請可能
(商工会議所の支援を受けて申請)
小規模事業者に該当すれば
申請可能
事業実態が乏しい場合は
対象外になりやすい
ものづくり補助金 申請可能
(事業計画の質が重要)
申請可能
(組織体制をアピールしやすい)
事業規模が小さいと
採択は難しい
新事業進出補助金 要件次第で申請可能 申請可能
(新分野展開に適している)
原則として対象外
厚労省系の助成金
(人材開発支援等)
従業員を雇用していれば
申請可能
雇用保険適用事業所であれば
申請可能
原則として対象外
自治体独自の
AI補助金
地域によって申請可能
(要件は自治体ごとに異なる)
地域によって申請可能 事業所の所在地が
条件になることが多い

どの立場であっても、共通して重要なのは「事業として成立しているか」という点です。補助金は事業の成長を後押しするための制度であり、趣味や学習目的の支出を支援するものではありません。自分の現在の立場を正しく把握したうえで、条件に合う制度を選びましょう。なお、各制度の詳細や最新の公募情報は、中小企業庁や各補助金の公式サイトで必ず確認してください。

参考URL

AI研修・AI顧問 助成金活用ガイドブック 2026年度版

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AI研修・AI顧問
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発行:一般社団法人 日本AI導入支援協会(J-AIX)

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